• MRIガイド下集束超音波治療

患者さんへ

MRIガイド下集束超音波治療

開頭せずに頭部の外から脳内を治療できる
MRガイド下集束超音波治療機器「エクサブレード・ニューロ」を導入

当院では、平成27年12月から平成28年9月までの間に臨床研究(本態性振戦の治療)を実施し、良好な結果を得ました。この臨床研究は大阪大学医学部附属病院の脳神経外科医および神経内科医と彩都友紘会病院の医師・メディカルスタッフが手を組み、彩都友紘会病院のMRI装置と集束超音波治療機器「エクサブレード」を用いて実施しています。

この新しい治療機器は世界的にも数少なく、当院への導入は日本で4番目でした。2016年12月には装置の薬事承認、2019年6月には「薬物療法で十分に効果が得られない本態性振戦」を対象とした本装置を用いた治療が保険収載され、さらに2020年9月には治療対象が「薬物療法で十分に効果が得られない本態性振戦およびパーキンソン病の患者に対し振戦症状の緩和を目的として、視床を標的としたMRガイド下集束超音波治療」と改正され、本治療のさらなる発展が期待されています。

本態性振戦とは

本態性振戦は食事の際に手が震えてとまらないなど、動作の際に自分の意思に反して手や頭が震える運動障害の一種です。症状はふるえのみで、他の症状はありません。高齢者のかなりの割合にみられ、40歳以上の20人に1人、65歳以上の5人に1人がかかるとされています。本態性振戦の発症の詳しい原因はまだよくわかっていませんが、緊張すると症状がひどくなり、加齢とともに進行するケースが多くみられます。重篤化すると字が書きづらい、手に持ったコップの水がこぼれるなど、日常生活に支障をきたすようになり、生活の質の低下や心理面での負担となります。認知度が低く、他の病気(例えばパーキンソン病の振戦)と誤診されることも少なくありませんが、最近では生活の質を改善するための治療が積極的に行われるようになってきています。

本態性振戦とは

本態性振戦の治療方法

β遮断薬などの薬物治療が主ですが、薬物治療が効かない場合には、頭部を切開しておこなう「定位脳手術」や放射線を利用した「ガンマナイフ」、ドリルで頭蓋骨に穴をあけ電極を埋め込み、視床に電流を流す「深部脳刺激療法」(DBS)があります。
しかし患者にかかる負担が大きいため近年、身体に負担の少ない「MRガイド下集束超音波治療」が注目されています。

MRIガイド下集束超音波治療機器の原理

虫眼鏡で光を一点に集めるのと同様に、1本1本の微弱な超音波を束にして一点集中させ標的組織に照射します。
一点集中で超音波を照射することによって、標的組織を熱(50-60℃)で破壊(凝固)させ治療します。

放射線の被曝がないため、何度でも繰り返し治療が受けられます。治療はMRI画像を撮影しながら行うため、ピンポイントで正確な位置に照射することができ、照射中の温度変化を細かく確認することができます。

MRIガイド下集束超音波治療機器の原理

MRIガイド下集束超音波治療の流れ

頭を剃髪し、専用のボルトで器具を頭に固定します。その後、ヘルメット型装置を装着しMRI内に入ります。MRIで位置を正確にとらえ超音波を照射し治療を行っていきます。治療中はスタッフがすぐそばにおり状態を見ています。
医師が話をして様子を見ながら温度を調節し、最適の場所を選んで照射するため、個人差が大きく治療には時間がかかります。
開頭や全身麻酔の必要がなく、意識を保ったまま行えるため、症状が改善していくのを確認しながら治療を進めていくことが可能です。

治療に要する時間は3~6時間です。
2泊3日で、治療後はすぐに日常生活に復帰できます。

MRIガイド下集束超音波治療を受けるには

集束超音波治療を受けるためには、患者様のご病気がこのMRIガイド下集束超音波治療で治療可能な本態性振戦かどうかを事前に詳しく調べる必要があります。既に大阪大学医学部附属病院もしくはその他の専門病院での精密検査の結果をお持ちの場合はその結果も使用しますが、ない場合にはまず精密検査を受けていただく必要があります。その結果で集束超音波治療の対象であると判断されれば、彩都友紘会病院にお越し頂き診察そして治療へと進む流れとなっています。

まずは地域医療連携室までお問い合わせください。

地域医療連携室
TEL.072-641-5968
FAX.072-641-5967
地域医療連携室